
冬の空気に、そっと福の気配が満ちていきます。
西宮神社の「十日えびす」は、巨大まぐろの奉納、名湯の献湯、夜明け前の神事、そして福男選びの熱気が交わる三日間の祭りです。
参拝客の表情や小さな会話までもが温かく、新年の始まりを実感できる行事として親しまれています。
初めて訪れる方でも迷わず楽しめるよう、主要な儀式と魅力をわかりやすくまとめました。
Contents
十日えびす・スケジュール|3日間の儀式と楽しみ方
◾️開催日程:1月8日(木)〜1月10日(土)
◾️行事スケジュール
| 日付 | 時間 | 行事名 | 場所 | 雰囲気コメント |
|---|---|---|---|---|
| 1月8日(木) | 9:30頃 | 招福大まぐろ奉納式 | 拝殿 | 新年の福を呼び込む“開幕”にふさわしい荘厳な儀式。 |
| 13:00 | 献華祭 | 本殿 | 美しい供花が神前を彩る、静かで優雅なひととき。 | |
| 1月9日(金) | 14:00 | 有馬温泉献湯式 | 拝殿 | 湯気が境内に立ちのぼり、冬の寒さに温もりが広がる。 |
| 1月10日(土) | 4:00 | 十日戎大祭 | 本殿 | 真夜中の静寂と神事の緊張感が満ちる、最も神聖な時間。 |
| 6:00 | 開門神事福男選び | 赤門→本殿 | 一瞬で熱気が爆発する名物行事。観客の歓声に包まれる。 |

行事の概要|歴史・意味・特徴
① 起源・歴史
西宮神社は、全国に約3500社あるえびす神社の総本社として知られ、古くから商売繁盛・海の守り神として信仰されてきました。「十日えびす」は室町時代には既に行われていたとされ、新年の商い始めに合わせ、福を授かる祭りとして人々の生活と密接につながってきました。
② 現在のスタイル
現在の十日えびすは三日間にわたって儀式が連続して行われ、招福大まぐろ奉納、有馬温泉の献湯、華やかな献華祭など、地域の伝統と人々の願いが一体となった構成になっています。とくに開門神事福男選びは全国的に知られ、テレビでも取り上げられる名物行事です。
③ この祭りならではの特徴
歴史の重みと人々の熱気が混ざり合うのが十日えびすの魅力です。商売人だけでなく、学生や家族連れなど幅広い層が「一年の福」を求めて訪れます。境内に広がる屋台の香り、朝焼けの中で走る福男、奉納儀式の厳かさなど、年明けの活気を全身で感じられる祭りです。
④ 開門神事福男選びの由来と意味
午前6時、表大門が開かれると同時に待ち構えていた参拝者たちが一斉に走り出し、約230メートル先の本殿を目指します。この“走り参り”こそが西宮神社特有の伝統行事「開門神事」で、江戸時代頃に自然発生的に始まったと伝えられています。
本殿に早く到着した上位3名がその年の「福男」として認定され、認定証・ご神像・副賞・特別な半被が授与されます。新年の「運」と「勢い」を象徴する神事として全国的な注目を集めています。
スタート:表大門(赤門)
見どころ5選|行く前に知りたい“魅力の核心”
1. 招福大まぐろ奉納|迫力ある巨大まぐろに願いを託す
1月8日の朝に執り行われる名物行事。数百キロの大まぐろが運び込まれる瞬間、拝殿前にはどよめきが走り、カメラを構える人々の指先が一斉に震えます。表面に貼られた無数のお賽銭が冬の光を反射し、まるで“福の塊”のように輝く姿は圧巻。
地元商店のご主人が「今年もよろしくお願いします」と頭を下げ、横では初めて来た親子が「ほんとに大きいね」と目を丸くする——そんな人間味ある場面があちこちで生まれます。
- 大まぐろが運ばれるとき、隣にいた常連のおばあさんが「この瞬間を見ないと一年が始まらんのよ」とつぶやいていて胸が熱くなりました。
- 早朝から冷え込む中、みんなで息をのむ静けさがあって、まぐろが姿を現した瞬間の拍手が忘れられません。
- 子どもが目を輝かせて「すごい!」と言った声が響き、家族で来てよかったと心から思いました。

有馬温泉献湯式|名湯のパワーを神前へ
湯気をまとった名湯が西宮に到着し、静かに神前へ運ばれていく光景はどこか温泉街の朝のようなやさしさがあります。赤い桶に注がれた湯からふわりと立ちのぼる香りに、周囲の人は思わず表情をゆるめます。
常連らしき男性が「これが来ると、いよいよ十日えびすやな」と隣の人に語りかけ、見知らぬ者同士が温かい空気を共有するひととき。湯が神前に供えられると、冬の冷気の中にほのかな温度が灯るような感覚になります。
- 有馬の湯が運ばれてきた瞬間、冷たい空気が一気にやわらぐのを感じました。思わず深呼吸したくなる香りです。
- 隣にいた若い夫婦が「これ見たかったんですよね」と喜んでいて、一緒に幸せなおすそ分けをもらった気分になりました。
- 湯気越しに見える神職の姿が本当に美しく、写真では伝わらない“生の荘厳さ”がありました。
十日戎大祭|まだ暗い境内に満ちる神聖な空気
午前4時。街がまだ深い眠りの中にある時間、境内だけは淡い灯りが揺れ、静かに人が集まってきます。吐く息が白く、足元の砂利を踏む音がやけに大きく響く。祝詞が始まると、空気に張りつめた薄い膜がかかったような、言葉にしづらい厳粛さが広がります。
初めて参列した若い男性が「なんか、背筋が勝手に伸びますね」と呟き、隣にいた年配の女性がうなずく——こんな静かな交流が生まれるのも、この時間帯ならではです。
- 4時の境内は本当に別世界。風の音まで澄んで聞こえ、思わず手を合わせたくなる雰囲気でした。
- 寒さで体が震えていたのに、祝詞が始まった瞬間、胸の奥がじんわり熱くなるような体験をしました。
- 「一年の始まりをここで迎えられてよかった」と隣の人が涙ぐんでいて、心が洗われるような感動がありました。

開門神事福男選び|全国的に有名な“福をつかむ”走り
6時前、境内には妙な静けさがあります。走者たちが赤門前で肩を回し、深呼吸し、互いに小さくうなずき合う。緊張で手が冷たくなっているのが見えるほど。
門が開く瞬間、周りの観客が息をのみ、「いけーっ!」という叫びとともに一気に走者が飛び出すシーンは毎年鳥肌ものです。ゴールで倒れ込んだ若者に、知らないおじいさんが「よう頑張ったなあ」と声をかける——その人間味こそ、この行事の魅力です。
- 隣にいた地元の方が「ここから見るのが一番迫力あるで」と場所を教えてくれ、走者が飛び出す瞬間を初めて間近で見られました。
- 参加した息子が「途中で転びそうになったけど、応援の声が聞こえて走れた」と涙目で話していて、親として胸が熱くなりました。
- 福男が決まった瞬間、知らない人同士で思わずハイタッチしてしまうほど、会場の一体感がすごかったです。
夜の参拝と屋台の賑わい|昼とは違う華やかさ
夜になると、昼の喧騒が嘘のように境内が落ち着きます。提灯の赤い光が参道を温かく照らし、屋台の湯気がふわっと漂ってくる。甘酒の香りに引き寄せられ、カップを手にした人々が「染みる〜」と笑い合う姿も微笑ましいものです。
写真を撮る人が三脚を構え、カップルが手をつなぎながら歩き、地元の高校生が屋台のたこ焼きを分け合っている——そんな西宮の冬らしい日常が、夜の十日えびすにはあります。
- 夜の境内で飲む甘酒は格別。隣の知らないご夫婦が「温まるねぇ」と声をかけてくれて、あたたかい気持ちになりました。
- 写真を撮っていたら、地元の学生さんが「この角度が映えますよ」と教えてくれて、ほっこりしました。
- 昼の賑わいも好きですが、夜のしっとりした雰囲気はもっと好き。ゆっくり参拝できました。
アクセス・周辺情報・防寒対策

① アクセス(最寄駅)
- 阪神電車「西宮駅」徒歩5分
- JR「さくら夙川駅」から徒歩約10分
- 車の場合は周辺道路が大混雑のため、公共交通機関が安全
>>〈福男〉西宮神社へのアクセス方法と駐車場ガイド|観光スポット・グルメ情報も紹介
② 周辺観光
西宮神社の周辺は、昔ながらの商店街と文化の香りが混ざり合う散策にぴったりのエリアです。参道を抜けると、焼きたての饅頭の香りや、地元の酒蔵から漂う麹の匂いがふわりと漂い、歩くだけで地域の息づかいを感じられます。
十日えびすの時期は商店の人々もどこかそわそわしていて、「今日はえべっさんで忙しいで」と声をかけられることもしばしば。少し足をのばせば夙川の穏やかな川沿い散歩も楽しめ、参拝の余韻を静かに味わえる時間になります。
③ グルメ
祭りの楽しみの一つが、地元ならではの味と出会うこと。西宮は海も山も近く、食材に恵まれた土地柄です。参道には冬の冷えた体を温める肉うどんや、香ばしいたこ焼き、湯気の立つ甘酒など、寒い季節にぴったりの屋台料理が揃います。
屋台の人たちが「よう来てくれたね」と声をかけてくれる温かさも魅力の一つ。また、駅周辺には昔ながらの喫茶店や定食屋が多く、行列ができる洋食店もあるほど。祭り帰りに立ち寄ると、ほっと息をつける良い締めくくりになります。
④ 防寒対策
十日えびすは早朝・深夜の行事が多く、とくに1月10日の午前4時開始の大祭や午前6時の福男選び観覧は厳しい冷え込みとの戦いになります。境内は風が抜けやすく、厚手の手袋・ネックウォーマー・耳当ての装着が安心。
足元は厚手靴下+インソールカイロが効果的です。長時間外で待つため、上着の内側に薄手ダウンを挟む“二層構造”や、カイロを腰とお腹に貼る重ね着術が大活躍。甘酒や温かいドリンクをこまめに飲むことで体温の低下を防げます。
⑤ 混雑回避アドバイス
十日えびすは三日間通して賑わいますが、混雑の波を知っておくと快適に動けます。もっとも混むのは 10日6時の福男選び直後。観覧客が一斉に移動するため、参道が詰まりやすい時間帯です。
反対に、8日の午前中は比較的ゆったりしており、初詣気分でのんびり歩けます。また、夜の参拝は人の流れが落ち着き、写真撮影や屋台巡りがしやすい“穴場時間帯”です。
- 早朝はかなり寒いものの、人が少なく、自分のペースでゆっくり参拝できました。
- 夕方以降は参拝客がほどよく減り、屋台にも並ばず買えるため、とても快適でした。
まとめ:西宮神社 十日えびす
夜明け前の静けさ、まぐろ奉納のどよめき、名湯の湯気、そして走り抜ける福男の息遣い——十日えびすは、冬の西宮だからこそ味わえる“人と祈りの祭り”です。
参拝に訪れた人々の表情や、小さな会話までもが温かく、境内には一年の始まりを肌で感じる空気が漂います。三日間のどの時間帯にもそれぞれの魅力があり、何度訪れても新しい発見があります。
今年こそ福をつかみたい方も、ただ雰囲気を楽しみたい方も、どうぞ西宮神社で新年の力強い一歩を踏み出してください。


